2013年07月06日

nanairo研究

nanairo は元々はラジオ番組「押尾コータローの押しても弾いても」の中の1企画である「ギター教えタロー」の中から練習曲として誕生したものですが、これがきちんと曲として完成されアルバム Reboot&Collabo に収録されているのはみなさんご存知かと思います。

で、このアルバムバージョンの nanairo。なんかギターの後ろにストリングっぽい音が聴こえてますよね。なんだろうと気になっていましたが、どうもこれ「ハーモナイザー」というエフェクターを使っているとか。
Logic には標準でこれに相当するプラグインは入っていないので、プラグインを組み合わせて何か同じようなことができないかなーと試してみました。

曲はアルバムバージョンではありませんが(笑)、ちょっとこちらを聴いてみてください。



どうでしょう?
なんとなーく雰囲気だけは出てませんか?(笑)
音源はラインオンリーでミックスはこんな感じの設定になっています。

nanairo_mix.png

ピッチシフターの設定
pitch_shifter.png

ま、要は原音にピッチシフターをかませて5度上の音にして、リバーブの残響音だけを響かせているということです。

でもこれ、まだちょっと違うんですよね。
なんか押尾さんのはハーモナイズする音とそうでない音が決まっているみたい。ハーモナイザーっていうのはそんな風に使えるもんなんですかね?
これに近づけるには、ハモらせたくない音の周波数帯だけをばっさりカットしてからピッチシフターにかけるとか、そんなことが必要かもしれません。

あ、その前にまずアルバムバージョンの nanairo を耳コピしなきゃ(^_^;


posted by みっつん at 16:25| Comment(0) | 録音関連 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年06月29日

位相について考える

今回は位相について考えてみます。

●位相とは

まず音が波であるというのは誰しもが知っていることだと思います。DAWや波形編集ソフトの画面で、波打った曲線を見たことがあると思いますが、ざっくり位相とは何かというと「ある決まった時点での波の高さ」だと思えばいいかと。ていうか位相とは何かっていうことより「位相がずれる」というのがどういうことかを知ったほうが早く理解できそうな気がします。ちょっとこのへんは説明を端折りますのでググってくださいw

ここで注意しておかないといけないのは「音と音を重ねあわせた時、必ずしも2つの音が聞こえてくる、つまり足し算の結果が+になるとは限らない」ということ。例えば逆相の音を重ね合わせると無音になります。
最近ではノイズキャンセル機能の付いたヘッドホンが結構安価で手に入るようになってきましたが、あれはこの原理を使っているわけです。ヘッドホン自体にマイクが付いていて、ヘッドホンの外から入ってくるノイズを集音。その音を逆位相にしてヘッドホンのスピーカーから音楽と一緒に出力することで、耳に音が届く時にはノイズが相殺されて聞こえないようになるわけです。


●マイクとラインのズレ

さて、このブログを読んでる方には、押尾さんを始め多くのフィンガーピッカーが採用しているような複数のPUを組み合わせたシステムを使っている方も多いと思います。特に多いのが貼りピエゾとマグネチックPUの組み合わせで、プロの手でちゃんとセッティングされたものならば、おそらくPU間の位相がずれまくっていたり反転してたりってことはないはずです。
あ、そういえばニコピンみたいな貼りピエゾを複数枚使ってるのって、位相はどうなってるんでしょうね?ヤマハのシステムでピエゾを5枚使っているやつとかありましたけど、なんか位相がぐちゃぐちゃになってそうな予感…。

ちょっと話がそれました。
で、とりあえずラインに関しては位相が問題ないと仮定して、気をつけないといけないのはマイクの音を組み合わせる場合です。特にちょっとオフ目にマイクを立ててたりする場合。

ここでちょっと計算してみましょう。

音が空気中を伝わる速度は大体340m/sと言われています。湿度や気温、気圧によって若干変化しますが、ギターを使用する環境で±10m/sは変わらないはずです。
で、仮に1弦開放のEの音をポーンと鳴らしたとします。この音の周波数は大体330Hz。音が1秒間に進める距離が340mで、その間に330回振動していることになるので、音波の空気中での波長(山から山の距離)は 340 ÷ 330 = 1.03m となります。

これは、音の出所とマイクの距離が仮に1mだったとすると、その間に音の波がひと山(1周期分)存在するということです。こんな感じでイメージみてください。(実際の音波は疎密波なのでちょっと違いますが)

波形.png

とするときれいな正弦波の場合、半周期ずれると位相が反転することになるので、マイクとの距離が50cmの場合にPUの音とマイクの音が相殺されることになります。


本当に計算の通りかどうか実験してみましょう。

実験にはなるべく正弦波に近いハーモニクスの音を使います。5弦5Fのハーモニクスは440Hzなので、この音の波長は 340 ÷ 440 = 約77cm。つまりマイクを77cm離した時に1周期分ずれて、その半分の38.5cmでPUの音とほぼ打ち消しあうことになるはずです。

まずマイクとサウンドホールを約77cm離した場合の、マイクとコンタクトPUそれぞれの波形を見ると

77cm.png

こんな感じになります。
ほとんど山の形が一致していますね。


次にマイクとサウンドホールを約38cm離した場合について同様に波形を見ると

38cm.png

こんな感じ。
ほぼ逆向きの山になっています。

これらを重ねあわせた音を聞いてみると、完全な正弦波でなく、また完全な逆位相にもなっていないので無音というわけにはいきませんが、打ち消し合っているというのは聴いて取れます。


●ラインとマイクの音を同期させる

そこで、じゃ実際どうすればいいのよ?って話になります。
これまでの話でマイクに集音された音は、ラインの音より空気を伝わる分遅れているということは、お分かりかと思います。ならば、マイクとラインの音を同期させるには、

1.マイクのチャンネルを時間軸上で−の方向にずらす。(前に進める)
2.ラインのチャンネルを時間軸上で+の方向にずらす。(遅らせる)

のどちらかが必要になります。
1の方法で手でリージョンをずらしてもいいんですが、2の方法だとLogicの場合プラグインで対応出来ます。SampleDelayというプラグインがそれで、任意の指定したサンプル数分遅らせることができます。

sampleDelay.png

例えばサンプリング周波数44100Hzで録音したものについて、1サンプル分遅らせた場合だと、

 1 ÷ 44100 = 0.000026757.. 秒

遅れることになります。音波がこの時間に進める距離は 340m/s をかけて約7.76mm。つまり、1サンプル遅らせることで、マイクが7.76mm近づいたのと同じことになります。
よって、かりに50cmの距離にマイクを立てた場合には、500 ÷ 7.76 = 約64サンプル分ラインの音を遅らせることで、ほぼマイクの音と同期することになります。

位相の話から始まって、結局はその本質からずれてしまった気もしますが、マイクとラインの音ををミックスしているしている方、この辺りのことを気にしてみると面白いかも?

posted by みっつん at 00:08| Comment(4) | 録音関連 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年06月27日

最近の録音など(実践編)

前回に引き続き、今回は最近の録音手法とか、まぁ無いなりに知恵を絞りつつ実験しつつ分かったことなど書いてみたいと思います。

●マイクかラインか?

このところ録音に関しては、ずっとマイクを中心にした音作りをしています。
押尾さんのCDを聴いていると、ストローク系の曲ではラインを中心に音が作られているものが結構ありますが、特にバラードに関してはマイクが中心になっているものが多く、やっぱり個人的な趣味としてはこっちなんですね。

それからマイク中心としている理由はもう一つ。オーディオファンでない一般的なリスナーにおいては、その視聴環境としてスピーカーを鳴らすことより、ヘッドホンで聴くことの方がはるかに多い、ということがあります。
個人的にラインサウンドというのはどれだけピックアップの作りを生音に近付けたとしても、それが最大限に活かされるのはスピーカーから出力され空気を伝わった音を聴いた時であって、どうしてもヘッドホンで聴く音には限界があると思っています。特にドンシャリ傾向のある一般的なヘッドホンならなおさら。モニターヘッドホン使ってる人なんてごく一部ですからね。

ということで録音については生音中心。特に生っぽさというか、ギターらしさというか、目の前でギターを弾いているようなクリアで明確な音像というのを重視して取り組んでいます。まだまだ理想とする音には遠いですけど…。

●マイクセッティングとか

まずこちらの動画

MOTHER


−使用マイク
オン: SM57  (15F近辺から20cmくらい)
オフ: NT1-A (かなりテキトーに1mくらい離してw)

うーん、今聴くと演奏がダメダメ過ぎて穴があったら入りたい…。ま、それは棚の上段においておいてと。
SM57の音が中心で、NT-1Aの方はよく言われる「アンビエント」感ってやつを狙ってみたんですが、結果的にMIXの段階で完全に迷宮入りしました。こんな芸当をするにはまだまだ経験値が足りなかったようです。オンマイク1本でも満足に扱えていないのにそりゃ当然と。

では次。

夕暮れハート


−使用マイク
オン: NT1-A  (12F近辺から20cmくらい)

前回と同じ轍を踏まないよう、まずは1本でしっかり録れることを目指しました。この時はスピーカーオンリーでMIX作業をしていましたが、アップした後でヘッドホンで聴いたら思いのほかハイがきつくてびっくり。この失敗の原因はおそらく、スピーカーのセッティングに問題があったのかな、と。机に共鳴して低域が出すぎ、高域をちゃんと聞き取れていなかった可能性が高いです。

そして次。

Midnight Rain


−使用マイク
オン: NT1-A  (19F近辺から20cmくらい)

うーん、やっぱり演奏が(激爆)
ここに来てマイクのセッティングにかなり時間をかけました。アコギのマイク録りについては、このサイトがよくまとまっていて参考になります。
http://sutatsuku.blog45.fc2.com/blog-entry-33.html

左右は12F近辺からブリッジ周辺まで、上下の位置もいろいろ変えて録っては聴き録っては聴き…。時々耳が馬鹿になってくるので、リファレンスを聴いて耳をリセットしての繰り返し。
基本的にアコギをオンマイクで録音しようとすると、近ければ近いほど低域が強く出る傾向があります。低域の足りない部分は初めからマグで補うつもりでいたので、とにかく分離がよく高域がすっきりと聞き取れるポジションをじっくり探してみました。
また指向性のあるマイク(NT1-Aもそう)をオンで立てる場合、マイクの位置もさることながら、わずかなマイクの角度でもかなり音が変わります。
と、そんなこんなでやっとこれならいいかな、というセッティングが出たので、この時はMIXの段階でEQを全くいじりませんでした。今後バラード系の曲を録る時には、このセッティングがベースになってくると思います。

ところで、近いうちにパームの入ったストローク系の曲(曲も決まってるんだけど)を1つ録りたいと思ってまして、その場合は、また全然違うんだろうなーと。今のところまだ想像ですが、NT1-Aは使えないかも、、、とか。
オンマイクで録るならダイナミックマイクのSM57で。コンデンサマイクを使うなら、指向性の強いもので若干離した位置から狙ったほうがいいような気がします。確か押尾さんが使ってるのもそんなんだったような。

●あとがき(のようなもの)

さんざマイクのセッティング関係について書いてきてなんですが、最近疑問に思っているのはギター本来の音ってなんだろう?ってこと。僕は自分好みの音を探してマイクの位置やら向きやらいろいろいじくってましたけど、果たして録れたその音はギター本来の音なのか?と。
まー、マイクも楽器の一部なんだと考えて、最終的なアウトプットが「自分の音」ってことなのかなーとも思います。
この辺のところ、プロの方々がどう考えているのかを一度聞いてみたいですね。


posted by みっつん at 21:33| Comment(2) | 録音関連 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。