2010年01月04日

ピエゾピックアップ研究 (その1)

以前、アンフィニさんに行った時に、ぽろっとこんな一言を聞きました。

「ピエゾ素子は振動によって電圧が発生すると勘違いしている人が多いんですが、
 実際は折れ曲がることで電圧が発生するんですよ」

一瞬「?」でしたが、ちょっと考えたら「なるほど!」と思わず目から鱗が3枚くらい
落ちた気がしました。

まず、音というのは空気の振動に他なりませんが、それはもう少し突っ込んだ言い方
をすると空気の密度の変化が波動となって伝わる、物理で言うところの「縦波」な
わけです。
ダイナミックマイクなどでは、この縦波によって振動板が音の方向と平行に振動する
ことでコイルへ振動が伝わり電圧が発生します。



そもそもアンフィニさんご指摘の通り、私自身もピエゾ素子というのは振動で電圧が
発生するものだと思い込んでいて、それはダイナミックマイクの原理と同じような
ものだと思っていました。
つまり、トップ板の振動によって振動板とピエゾ素子がトップ板の法線方向に振動
することで電圧が発生するものだと思っていたということで、イメージとしては
こんな感じになります。



ギターの弦を弾くと、その振動はサドルからブリッジへと伝わり、トップ板の振動は
やがて全体に広がり定常波となります。
定常波の形自体は非常に複雑で、その位置や減衰の過程によって大きく異なるはず
ですが、ここでは説明を簡便にするため、両サイド板を節としてその間を波長とする
定常波であるとします。



と、こんな風に振動している板というのは、音の周波数と同じだけ上下に折れ曲がって
は戻ってを繰り返すわけであって、この上にピエゾ素子(圧電振動板)を貼り付けると、
当然ながら圧電振動板も折れ曲がっては戻ってを繰り返します。



この折れ曲がりが電圧を発生させて、音が電気信号に変換されるわけですね。
先のアンフィニさんの一言は、こういうことを意味していたのかなと。

説明が長くなってきましたが、これらを踏まえて考えると、ほんの少しですがギター
それぞれの個体にあったピックアップとはどういうものなのかが垣間見えてくる気が
します。

「理想のピックアップ」=「ギターの生音をそのまま伝えるもの」とすれば、トップ
の変形に逆らわず遅れず、振動板がそのままトップと同じように変形する、ということ
が一つ重要な要素になってくるのではないでしょうか?
トップ貼り付け型のピックアップを構成する要素はたくさんありますが、例えば台座
部分について考えてみると、堅い方がいい、とか柔らかい方がいい、とかではなく、
トップ板と同じ素材がベストなのでは?とか。
私がこれまで使ってきたコムピエゾtype1には、台座としてエボニーの板が付属してます。
とすると、コムピエゾはブリッジに直接貼ることを前提としてるのではないか?とか
そんな風にも考えられるわけですよ。
(D-28を始め、多くのギターはブリッジがエボニーでできてますからね。)

台座の素材以外にも、圧電振動板のサイズとかトップへの貼り付け方、あるいはトップ
の振動波形は位置によって全然違うわけで、当然ながら貼り付け位置も重要な要素に
なるでしょう。といっても後者は「どう振動を拾うか」でなく「どの振動を拾うか」
という問題になるので、少し意味は違ってきますね。

またピエゾ素子をコムピエゾのような円形でなく、方向をもった形にすると定常波の
どの向きの成分をより拾うかという問題も出てきたりして、もう素人には全然わけが
わかりません(笑)

こういったことを考慮しながらピックアップを作られている、アンフィニ藤岡さんや、
M-Factoryの三好さんは本当にスゲぇなと思い知らされるわけです。
アンフィニオリジナルピックアップやM-Factoryのシステムは、他の既製品と比べると
かなり高価な部類に入りますが、これらのノウハウ料と考えれば、当然の対価なんだと
納得させられます。

と、ちょっと話がそれてしまいましたが、まずは先に書いた「トップと同じ材」を
試してみようということで、通販で買える材木屋さんからスプルースを注文してみました。
シトカスプルースでもないし、D-28のトップと完全に同じ材でもありませんが、その辺
のいい加減な材を使うより参考になるかなと。

(次回へ続く)
posted by みっつん at 20:05| Comment(4) | TrackBack(0) | 自作ピックアップ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
ナルホドぉ〜
とはナラづ・・・
物理は得意なハズだったのに。

ワタシ、全然その辺の知識がないので、みっつんさんのシステムを参考に今年は音作りでもしようかなと。(しないかも)
なんせ、弾ければイイや!みたいな感じで・・・

今年も、ヨイ情報とヨイ音源を期待しています!
Posted by flava at 2010年01月08日 17:44
flavaさん
私も弾ければイイや!の方が健全だと思うんですが、何分凝り性なもので(^^;
失敗も含めて少しでも情報を発信していけば、どこかで何かの役に立つかも
しれませんしね!
今年もよろしくお願いします。
Posted by みっつん at 2010年01月09日 09:20
学生時代の苦〜い......
物理とか化学が全く苦手な身としては何となく分かったような気はするものの音のメカニズムは難しいということはハッキリ分かりました。

ブリッジにピエゾが一般的(?)というのは、エレアコ(YAMAHA)なんかの説明書を見てると、そうなんや、っていう感じですね。

けど、新岡先生の貼り付け位置は全く違うので、やはり、奥が深〜いんですよね。

スプルースでの音の違い、お待ちしています。
Posted by aldonet at 2010年01月10日 12:03
aldonetさん
ピックアップの世界は本当に奥が深そうですよね・・・。
貼りピエゾはどれも同じく1枚50円くらいのピエゾ素子を使っているようですが、
その周りをどう加工するかで全く別物になっちゃうんですよね。

できればこの3連休にどっぷりハマりたかったのですが、注文していた材料が
届かずモンモンとしております・・・。
Posted by みっつん at 2010年01月10日 18:03
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